ダウンロード多職種連携ハイブリッドシミュレータ“SCENARIO”を使用した薬事トリアージ演習におけるシミュレーションプログラム
近年、地震や豪雨などの自然災害が頻発する中で、災害時医療体制における薬剤師の役割が再認識されつつあります。特に、限られた医薬品資源を適切に配分し、患者の緊急度や重症度に応じて薬物療法の優先順位を判断する薬事トリアージの重要性が高まっています。薬事トリアージとは、災害医療の現場において、薬剤師がバイタルサインやフィジカルアセスメントなどの情報をもとに患者の緊急度や重症度を評価し、医薬品の投与や対応の優先順位を判断することです。このような判断力は、災害時の医療において薬剤師が多職種と連携し、医療体制を補完するために不可欠です。実際に、東日本大震災や熊本地震などの過去の大規模災害においては、薬剤師が避難所や医療救護所で薬剤の配布、服薬指導、薬歴管理などを通じて重要な役割を果たしたことが報告されています。一方、従来の教育では、ロールプレイ形式や座学による演習が中心であり、実際の現場に近い形での実習はほとんど行われていませんでした。実際に日本災害医学会が主催する薬剤師のためのPhDLSプロバイダーコースでは薬学的トリアージのセクションがありますが、フィジカルアセスメントに関しては実際にバイタルを採取するのではなく、ロールプレイ形式で被災者役が口頭でバイタルサインを伝える方法で行われています。私たちはこのような研修会にて実際にバイタルサインを設定し、視覚、触覚、聴覚を使いながら現場に近い形での薬事トリアージを行う教育プログラムが必要であると考えました。そこで本研究では、薬学生および薬剤師が災害時の薬事トリアージに必要な実践的スキルを効果的に習得できるよう、多職種連携ハイブリッドシミュレータSCENARIO®(京都科学)を用いたシミュレーション教材を開発しました。
シミュレーションプログラムでは、顔色、体温、脈拍数、脈拍リズム、血圧、聴診音(肺音,心音,腸音)、意識レベル、SpO2、息切れの有無などを設定しています。なお、作成したプログラムは実際のPhDLSプロバイダーコースの薬事トリアージ実習で用いられている10症例とオリジナルの10症例です。また、各症例のバイタルサインやフィジカルアセスメント項目などは、シナリオと整合性がとれるように新たに設定しています。
今回プログラムした「20症例の内訳」をご覧ください。なお、各症例は正常時とトリアージ時の2ステップのバイタルサインなどから構成されています。
薬事トリアージの4区分(PT1〜PT4)に応じて、症例は以下のようになっています。
- PT1(医師の診察が必要):①喘息(ファイル番号011)、④高血圧(ファイル番号014)、⑧高血糖(ファイル番号018)、⑨腎不全(ファイル番号019)、⑩胃潰瘍(ファイル番号020)、⑪肺炎(ファイル番号021)、⑫心房細動(ファイル番号022)、⑰低血圧(ファイル番号027)、⑱低体温症(ファイル番号028)の9症例
- PT2(お薬手帳の情報に基づき薬剤師が対応可能):⑤てんかん(ファイル番号015)、⑬脂質異常症(ファイル番号023)、⑭高尿酸血症(ファイル番号024)、⑮高血圧(ファイル番号025)の4症例
- PT3(OTC医薬品により対応可能):②アレルギー性鼻炎(ファイル番号012)、③便秘(ファイル番号013)、⑦打撲(ファイル番号017)、⑯頭痛(ファイル番号026)、⑳不眠症(ファイル番号030)の5症例
- PT4(情報提供のみで対応可能):⑥不定愁訴(ファイル番号016)の1症例、⑲不定愁訴(ファイル番号029)の2症例
「薬事トリアージ演習におけるシミュレーションプログラム」一括ダウンロードはこちらから
注意:シミュレーションプログラムでの番号は10が足されたファイル番号となっております。つまり、症例番号①は「011.災害時におけるトリアージ@KyotoKagakuScenario」となっております。
